はじめに

iOSエンジニアの小菅です。

社外向け勉強会を初めて開くにあたって発表資料を作りましたが、相次ぐキャンセルなどの影響で中止にせざるを得なくなってしまいました…。

ただせっかく作ったスライドと発表内容なので記事に残そうと思います。

私が担当しているマンガZEROの広告の売り上げをマネタイズ担当者と一緒に地道にあげていった時に当たった施策の紹介になります。

スライド

要点を整理して書いていこうと思います。

初期のマンガZEROの広告実装

ScreenShot1

初期は1つのSDKで実装していました。

そもそも2〜3年前だったのでiOSアプリ向けの広告SDKも少なく、またフォーマットもレクタングル(300 x 250) or バナー(320 x 50) くらいしかなかったので、迷うことなく使用していました。

ただ、それの実装だけだと思ったように売り上げもあがらず、またマネタイズ担当も手を出しづらいものになっていました。

1つのSDKで運用する際の問題点

広告SDKを差し替える(もしくは元に戻したい)場合、実装をし直して再申請をしなければなりません。

ただそうすると効果が悪い広告だった場合の対応が遅くなります。

またクラッシュなどが多発する粗悪SDKだった場合、ユーザーへの影響がとてつもないものになってしまいます。

結果、マネタイズ担当者が自社で広告を管理出来るようにしたい、出しわけ出来るようにしたいと言い始めて、仲が悪くなるという悪循環に陥ります。

また粗悪なクリエイティブでAppleさんのレビューでリジェクト食らうなどで実装し直しということもありました。

解決したい内容

  • 効果が高い(売り上げが上がる)と思ったものにすぐに振り分けたい
  • 新しい広告を少しずつ出し分けしたい
    • 新しい広告を入れた結果売り上げ下がったら元も子もないので…
  • 元に戻したい

などがマネタイズ担当者から言われた内容でした。

自社で広告配信周りを管理して、またランダムに振り分けてなどを組む余裕もなく、どうしようと悩んでいた時に見つけたのがFirebase RemoteConfigでした。

Firebase RemoteConfigを使った広告SDKの出しわけ

ScreenShot2

Firebase RemoteConfigの実装方法などは別記事を参考にしていただければ幸いです。

とても簡単に導入できます。

ここではFirebase RemoteConfigで試したことと成果の部分を紹介します。

RemoteConfigを導入してできたこと

  • 広告の配信比率を調整出来るようになった
    • ランダム○%には広告Aを、それ以外には広告Bをという配信振り分けが出来るようなった
  • 効果が高いやつを100%配信出来るようなった
    • 粗悪なクリエイティブをだす広告を配信しないようにも
  • 新しい(Beta版)SDKを試しで導入して少しずつ効果を測れるようになった

上記のように困っていた部分が全て解消されました。

また配信比率をいじれるようになったことで、良かった事がいくつかありました。

売り上げが上がった

imp分散をした事で各広告のクリエイティブが最適化されて、売り上げが上がりました。

以下はマネタイズ担当者に出してもらった数字です。

ScreenShot3

クラッシュする広告SDKを使わないようにできた

昔、金曜日に新しい広告SDKを入れたバージョンを申請して土曜に公開したらクラッシュがひどく、休日に対応に追われた事件がありました。

そういうことを避けるため、新しいSDKのテストをしっかりやるのですがそれでもクラッシュするSDKは存在していて、避けられない事があります。

しかし、RemoteConfigで表示処理を分けれるので、クラッシュする広告SDKを避けられるようになりました。

広告SDKのBetaテストに協力する事ができた

新しい広告フォーマットのテストに協力する事が出来ました。

その結果、直接エンジニアさんとやりとりする機会も増えました。

RemoteConfigのまとめ

Firebase RemoteConfigはUIやゲームのパラメータの調整で使われるかと思いますが、出しわけ出来る点だけでも導入する価値があるかと思います。

Firebase RemoteConfigだけでもだいぶ売り上げに貢献できましたが、それでも5倍には届かないです。

が、あまり世の記事では見かけない広告を導入した結果、5倍に達成したのでその広告も紹介したいと思います。

Facebook Audience Networkの導入

ScreenShot4

Facebookさんが運営している広告です。

実装自体はとても簡単なので、導入した効果と注意点を紹介したいと思います。

導入した効果

Facebookのアプリで表示される広告が表示されるので、とても効果が期待できます。

いいねをしたFacebookページなどFacebookの行動ログから算出されるため、とてもいいクリエイティブの広告が表示されるようになりました。

以下はまたマネタイズ担当者に出してもらった数字になります。

ScreenShot5

FANはF(acebook)A(udience)N(etwork)の略称です。

また、如何わしい(18禁やグロテクスなどの)広告も全く表示されないためリジェクトリスクを限りなく抑える事ができました。

こんだけ素敵な広告なので全枠に導入したかったですが、大きな問題点があります…。

導入する際の注意点

  • ユーザーの端末にFacebookアプリが入っていないと表示されない
    • 最適なものがないなら表示しないという強気の姿勢
    • なのでアプリ側で代替の広告を用意する必要がある
  • 在庫もそこまで多くない
    • 何回も在庫切れのエラーを見ている

なので、表示されない事が普通にあるので、機会損失しないように代わりの広告を用意する必要があります。

ただその苦労を差し引いても導入するだけの価値があるかと思います。

結果

Firebase RemoteConfigFacebook Audience Networkを導入した結果

ScreenShot6

CPM換算で5倍以上を達成する事ができました。

この数字を出すために、様々な広告SDKを使ったり全く関係ない技術から出し分けたりを繰り返して売り上げをあげる事ができました。

終わりに

広告実装自体は面白くもなんとも無いですが、売り上げが上がることに対してはすごく喜ばしいことだと感じています。

これからも1円でも売り上げをあげるために、色々なことにチャレンジしていきたいと思います。

新しい取り組みや実装ができた場合は、また記事にでも書こうかと思います。

以上です。