前編では伊藤さんの漫画家になるまでの経緯やジヘンでの連載開始、その後の心象などお届けしました。後半は単行本が出てからの広報活動や今後のジヘンの展望についてお伺いします。※

※前編はこちら

『マグネット島通信』単行本販売までの軌跡 〜数々の出版社で執筆して来た著名作家”伊藤 正臣”がな…

井上:作家の伊藤さん、編集長鹿島の出会いから生まれた『マグネット島通信』は、今回新
潮社様のご協力を得て紙の単行本として全国の書店で発売することが出来ました。新潮社様
には今回非常に多くのご協力を頂き、我々のようなIT企業と『BUNCH COMICS JIHEN』という共同レーべルで出版をするという、非常に先進的な取り組みをさせて頂きました。そういった経緯から生まれた単行本の広報活動について、引き続き伊藤さんに伺っていきたいと思います。

地元愛知での書店広報活動

井上:伊藤さんには地元愛知での書店周りや、クリアファイルやペーパー、サイン色紙作成
など非常に前向きに販促活動にご協力頂きました。改めてジヘン編集部の広報活動の印象は
いかがでしたか?

伊藤:すごく頑張って営業してくれているのを直に感じる事ができ、とても有難いし嬉しかったです。「漫画は内容が面白ければ勝手に売れる」という声もありますが、私のこれまでの単行本を出してきた経験から販促活動の大切さはすごく感じていました。ジヘン編集部
だけではなく、書店員さんや新潮社さんの営業さんも協力してくれましたし、クリアファイ
ルなども作成してくれました。コストがかかってるけど大丈夫かなぁと不安に思った面もあ
りますが(笑)でもそのような活動をしてくるのを見て編集者さんや営業さんが頑張ってくれるってこういう事なんだ!と感じました。

 

井上:今回ジヘン編集部側では、『マグネット島通信』単体で単行本化についてのプレスリ
リースを打ちました。アプリ・Web業界だとサービスやプロダクトリリース時にプレスリ
リースを打つのが一般的なのですが、そのようなネットを介したPR活動についてどう思われましたか?

伊藤:「こんな媒体が存在するのか!」と初めて知りました。紙では単行本単体でのプレスリリースを打つというのはあまりない文化でしたので。
雑誌やアプリを手に取る層と、プレスリリースを見ている層はどちらも読者の層が違うの
で、ちょっとでもいろんな人に作品を知ってもらえるキッカケになるのがありがたいと思い
ました。IT(Web)を駆使して広報するという考えはなかったので新鮮でしたね。

ダブルネームでの単行本化。出版業界に新しい風が

井上:編集長として、今回の単行本化から広報活動を振り返っていかがでしたか?
鹿島:アプリ発のレーベルが、新潮社さんとダブルネームで単行本化する事で、出版業界に
新しい風を吹かせることになりました。当初は出版業界や書店さんがどんな反応をするか、
嫌がられるんじゃないかと思っていましたが。関係者の皆様が前向きに捉えて頂き協力して
頂きました。
私自身も全力で作品の応援ができ、とても勉強になりましたし、広報活動に積極的にご協力
して頂いて、伊藤さんには感謝しております。

伊藤:今回の単行本を売るにあたって、編集者さん、出版社さん……沢山の方が関わるんだなと改めて思いました。そしてそれぞれが精一杯売れるよう頑張ってくれている事を肌で感じ、私もペーパーや色紙、やらせてもらえる事は一つも断らずに精一杯やろうと思いました。こちらこそ感謝しています。

井上:ありがとうございます。今後、ジヘン編集部から単行本が出た際も伊藤さんがしてく
れたように他の作家さんとも協力して作品の広報活動をしていけたら嬉しいですね。

ジヘンの今後の展望

井上:編集長の鹿島から、今後のジヘン編集部の展望について一言お願いします。

鹿島:アプリ発の本格青年誌レーベルとして去年の4月に生まれた当レーベルは、もうすぐ1周年を迎えます。立ち上げ当初は、出版業界や作家の皆様の認知度がまるでなかった『ジヘン』も、おかげさまで多くの作家さんから寄稿、支援いただくことが出来て少しずつその存在を知っていただく機会も増えてきました。
今後ジヘン編集部ではさらに多くの新人作家さんや、既に商業誌で活躍中の作家の皆様の連
載が決まっています。昨今、マンガアプリの流行で生み出される作品は、短期的な数字が出
やすいジャンルに偏ってしまったり、長い時間とお金をかけてしっかり品質にこだわって作
品作りをする文化が徐々に失われてきている危機感を感じています。また、若い編集者や作
家が本気で作品作りに励み、その上でトライアンドエラーする経験を得られる素地形成もま
まならない状況で、実践の中で成長できる環境が減ってきておりますそんな状況だからこ
そ、IT企業発、アプリ発ではございますが、本格的なマンガ作りにフォーカスできる新たな
環境で生み出された面白い作品を、テクノロジーの力で1人でも多くの読者に届けることを
目標に制作しております。近い将来『ジヘン』は、存在意義の大きいレーベルとして、想い
やビジョンに共感頂ける作家の皆様にお会い出来ることを楽しみにしております。ぜひ一度
編集部ご連絡頂ければ幸いです。

読者へのメッセージ

井上:最後に、伊藤さんから読者へメッセージをお願いします。
伊藤:今回、アプリ発のレーベル『ジヘン』で連載するという新しいチャレンジをしてみま
した。当初と違い、アプリ発のレーベルに対する偏見がなくなりました。
大手出版社も雑誌だけではなくアプリ展開が盛んになっているこの状況で、紙、アプリ問わ
ず漫画家としてボーダレスに漫画を届けて行きたいです。
雑誌の掲載はイス取りゲームですが、オンライン漫画やアプリという市場が出来て今は漫画家の活躍する場が広がっています。
チャンスでもあり、埋もれやすい時代でもあると思うんです。面白い漫画なのにソレを読みたい読者に届かなかったり、紙・電子に関わらず単行本化しない。

そんな中でジヘン編集部のしっかりとしたバックアップのもと「マグネット島通信」が単行本になった事はとても嬉しく思っています。
担当さんのお陰もあり、私の漫画の全てをアウトプットできた作品だと思います。沢山の方に読んでいただきたいです。

また、新人賞の応募で悩んでいる方も是非、作家へのフォローが手厚いジヘン編集部を私からもオススメします!!